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●会報しらやまNo84 2009年11月発行

秋の百四丈滝
秋の百四丈滝
この写真は、加賀禅定道から見た百四丈滝の景観です。
遠景には、穂高岳、薬師岳、立山、剱岳など、北アルプスの峰々が確認できます。
紅葉の見頃は、10月中旬頃ですが、年によって結構変わります。
登山道から百四丈滝の全容を見ることができる場所は、加賀禅定道の美女坂を登り切って15分ほど進んだ所にある展望台だけです。ここまでの道程は、短くありませんが、別当出合から大汝峰を日帰りするくらいの覚悟があれば、十分可能です。
写真・文 木村芳文(写真家・当会事務局員)


目次
ふでにしたがふ  事務局長 深田和人
要望書 白山トンネル
白山の万年雪、千蛇ヶ池雪渓の調査  小川弘司(石川県自然保護課)
トラスト日誌2 トラスト日誌1以降について  トラスト部会 垣本哲夫
環境について考える24 「アルプス山脈氷河展」に見る地球温暖化  会員 三津野 真澄(会員)
事務局短信
カンパありがとう
でかけてみませんか


ふでにしたがふ
事務局長  深田和人

今年も早いもので11月です。本会の動きについて書きたいと思います。

まずは、トラスト用地について。垣本さん、山田さん、橋本さんが整備していただいている様子は、トラスト日誌に書かれている通りです。私自身、しばらく足を運んでいないので、どのようになっているか非常に楽しみです。
植生調査を行っている清水さんの今冬の課題は、積雪量の測定です。どうやって測るのかといえば、等間隔で何本も針金をつけた角材を立てます。ひと冬越すと、積もったところまでの針金が雪の重みで曲がるというとのこと。金沢弁で言うところの「りくつなぁ」。

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この角材設置。パパッとつければよいかと思いきやそうでないことが分かりました。この地は、国立公園の第3種特別地域になり、「特別地域の中では風致を維持する必要性が比較的低い地域であって、通常の農林漁業については規制のかからない地域」と謳われています。このため、何をしても構わないと思っていたら、角材の打ち込みは「工作物の新築」に相当するようで、垣本さんが書類の作成、許可のために、文字通り走り回ってくださっています。

一番の注目は、何といっても政権交代。マニフェストとしてあがっていた八ッ場ダム中止はみなさんも注目されたと思います。中止反対を求める声が出ていますが、この後の交渉がどうなるか、見ていきたいと思います。ちなみに、現場に見られる工事途中の何本かのコンクリートの柱ですが、あれは、ダムができた時にあっちとこっちをつなぐための道路であって、ダムそのものの建設は始まっていないみたいです。そうなら、なおのこと中止してもいいように思いますが。(ちなみに辰巳ダムは全く逆方向に進んでいますね。どうなるのでしょう。)
本題に入ります。長年にわたって建設中止を訴えてきた白山トンネル。ちょっと楽観的かもしれませんが、すぐにでも止まりそうな気配を感じます。まずは、与党議員と会って、白山トンネルについて説明する予定です。本当に必要な公共事業ももちろんありますが、必要性を感じないものは無くして然るべきです。ネックは、本県出身の与党議員の中に建設推進派がいること。党として白山トンネルをどのように考えているか、聞きたいと思います。
3ページに、例年提出している要望書を載せました。ポイントは、3つめの●。調査報告書の表の中に、短縮時間が17分と書いてあることです。元々建設の意義が認められない上、この程度の短縮時間では、巨額の税金の投入を認めるわけにはいかないでしょう。
 
会内部としての課題は、次代を担う若者の確保でしょう。運営委員の平均年齢は50を超えているかもしれません。10年20年を見据え、20代30代の力がぜひとも必要です。よろしくお願いします。



要望書

1.白山トンネル(小松白川連絡道路)計画中止を求めます。
2.同計画のための調査中止を求めます。

白山トンネル(地域高規格道路小松白川連絡道路)の石川県旧鳥越村~岐阜県白川村30kmが調査区間に指定されたのは1995年8月です。県境部・長大トンネルの国直轄調査が1998年度より始まり、石川県3億円余、岐阜県と国各々数千万円の調査費を投じました。国と石川岐阜両県の担当者で構成されるルート帯検討会は今年3月24日にA案とB案の範囲について幅広な調査をさらに進めると発表しました。
21世紀に入り開発から自然保護への大きな流れが一層強まり、持続可能な社会実現という大いなる挑戦が私たちに求められています。
計画地の白山国立公園北部は将来世代に伝えるべき日本でも有数の自然遺産です。ブナ林が広がり絶滅危惧種のイヌワシやクマタカの猛禽類、ツキノワグマやニホンザル、ニホンカモシカ等の中大型哺乳類の生息密度が高い生物多様性豊かな奥山自然地域です。今日、温暖化抑制と並び生物多様性の保全は最重要課題です。明年名古屋で開催されるCOP10を控え小松白川道の計画を中止されることは生物多様性国家戦略の実行にふさわしいといえましょう。

白山トンネル計画を中止すべき主な理由
●国立公園の新鮮な水や空気、価値の高い風景をもたらす生態系を損なう。
●トンネル工法は峠越えに比べ環境への負荷が少ないとされていますが、水源地への影響および地下の生態系あるいは建設や維持に要する莫大な資源やエネルギーを考えれば環境への影響は避けられません。
●白山トンネルによる小松IC~白川郷IC間の時間短縮は17分(H19年度石川県調査報告書その2p.136 表3-20より)と建設する必要性は低い。白山周辺の高規格道路は東海北陸道(昨年7月全線供用)と中部縦貫道(要所で建設進行中)とで充分間に合います。
●災害復旧や安全対策はもとより、既存道路の補修や維持管理費増大が今後避けられません、建設費1千数百億円もの財政支出となる当計画は見直すべきです。
●計画時に将来交通需要増が見込まれていましたが現実は低下傾向にあります。
●コスト縮減として完成2車線を検討されているようですが、ルート案に日本では未知数の15km~23kmもの山岳超長大トンネルが含まれ、交通安全の観点から問題があることなど。

いったん調査区間に指定した道路は必ず建設するという旧習にとらわれることなく、計画中止と調査費の予算計上取りやめの英断を下されることを要望します。



白山の万年雪、千蛇ヶ池雪渓の調査
小川 弘司(石川県自然保護課)

白山さんの山頂からお池めぐりコースをたどり、室堂を目指すと、最後に見られるのが千蛇ヶ池です。「おー、雪だ」と、多くの登山者がその「池」の姿に感動します。
「池」と名前が付いていますが、大部分が雪で覆われています。この千蛇ヶ池の雪は秋になっても融けずに残り、そのまま冬を迎えます。この雪は、毎年毎年消えないで残るのです。すなわち「万年雪」なのです。
私は、この万年雪を調べています。千蛇ヶ池というより千蛇ヶ池雪渓と行った方が正確です。調べるといっても、その大きさ(面積)を測っているだけです。年に2回、8月と10月にこの雪渓を測ります。


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2009年8月11日の千蛇ヶ池雪渓

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2009年10月11日の千蛇ヶ池雪渓


なぜ、その大きさを測るのか。それはその大きさを測ることで、地球温暖化のようなグローバルな気候変動を知る手掛かりにならないものかと考えているからです。
年に2回の計測を行ううち、その基準となる計測は10月のものです。10月は白山で雪が降る前の雪渓が最小となる時期にあたります。その雪渓の大きさは、冬から春にかけてそこに雪がどれだけ降り積もったか、そして春から夏そして秋にかけてどれだけその雪が融けたかによって決まります。この雪渓の場合は、吹雪などで雪が吹きだまっていることも考えられますので、そのことも考慮する必要がありますが、ごく単純に言えば、雪渓の大きさを決定付けるのは、雪がどれだけ降ったか、そしてどれだけ融けたかといった気象条件によって決まるということです。すなわち、その年ごとの(正確に言えば前年の雪が降り始めた時期から当年の雪が降り始める前まで)気象に大きく左右されて雪渓の大きさが決まります。ですからこの雪渓の毎年の大きさの変化を調べれば、地球温暖化などの気候変動を知る手がかりになるのでは、と考えました。
近年、ヨーロッパアルプスやヒマラヤ山脈において、氷河が縮小・後退しているとの報告がなされ、その原因が気候変動-地球温暖化であるとの指摘がなされています。このためこれら氷河については継続的にモニタリング調査をする体制が整えられています。しかるに日本には、氷河は存在しません。これに代わるものとして、万年雪に着目したわけです。
実はこの雪渓については福井大学の伊藤文雄さんが前々からこの雪渓については調査をなされており、この調査を共同で、そして継続してやる方向で実施しています。
その1981年以降の連続した10月の雪渓の大きさは、年によってかなり変動しますが、傾向としては減少方向にあります。この千蛇ヶ池雪渓の大きさは氷河に比べ、極めて小さく毎年の気候に大きく左右されるので、氷河以上に気候変動に敏感であるともいえます。このまま地球温暖化が進行すれば、近い将来消滅してしまう運命にあるのかもしれません。



トラスト日誌2 トラスト日誌1以降について  トラスト部会 垣本哲夫

4月に実施した、作業道は、だいたい中間地点の炭焼窯跡まででしたが、これを更に延伸する作業を6月16日に実施した。


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結果、隣接する境界線である尾根まで到達。これにより、作業道は、杉の植林地帯と雑木林地帯(この表現がよいのか)の境目を分ける様なかたちで進み、中間地点の炭焼窯跡から上部へは雑木林(二次林と自然林の混在する林の中)の中を通って尾根筋に至る状況です。
このトラスト周辺の山林も炭の一大生産地帯の一つだったそうで、いわゆる白峰地区の里山としての役割を担っていた面影があります。それの証左として、ここには炭焼窯跡が2箇所見つかっていることでも分かります。
作業道にある窯跡のまわりは二次林が広がっており、これから、この二次林の成育状況を観ていくのも興味のあるところではないでしょうか。樹木の1本1本の成長は微々たるもの(人間の目から見れば)かもしれないが、この様な林の状況になるときの林全体の成長となる訳ですから、大きなエネルギーを感じます。
今後のスケジュールとしては、植生調査(継続)、降雪量測定観察、境界線踏査、等を予定しております。
会員の皆様、前号八十三の作業写真、43作業道を目安に是非訪ねてみてください。とはいっても何も特別に他の山と変わっている訳ではありませんが、いっとき林の中に身を置いて癒されるのもいいものですヨ。
目下、トラスト部員を3名~5名大募集中です。携帯090-9449-6019 垣本までお願いします。山と向き合い長い時間をボツボツやりませんか。次回また、誌面でお目に掛かりましょう。



環境について考える24 「アルプス山脈氷河展」に見る地球温暖化
三津野 真澄(会員)

8月アルプスに行ってきました。最初に訪れたシャモニーはフランス東部、スイス・イタリア国境に近いアルプス山麓の町。街角からは間近に氷河を眺めることができます。


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シャモニー博物館で「氷河展」が開催されていました。氷河に関して成因、分布、化学成分、氷河地形、文化への関わり等、多方面からの研究成果が展示されていました。
中でも目を引いたのは地球高温化による氷河の後退です。(ちなみに「地球温暖化」というのは暖かくなっていいじゃないか、というような誤った印象を与えかねないため、「地球高温化」の使用が広まっています。)
シャモニー周辺の4つの氷河について、19世紀に描かれた絵と現在の写真が対比して展示されていました。


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ツール氷河(上:1850年、下:2006年)

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ボソン氷河(上:1818年、下:2006年)

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メール・ド・グラス氷河(上:1825年、下:2006年)


新旧の間は200年も経過していないにもかかわらず、いずれの氷河も大きく後退しています。驚くしかありません。

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アルジャンチェール氷河(上:1860年、下:2006年)

このアルジャンチェール氷河については実際に氷河末端まで近づき観察してきました。ゴンドラを利用し途中駅で下車、約40分歩くとすぐ目の前に氷河が現れます。大迫力です。


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「ド・ド~~ン」凄まじい轟音をたて氷河末端が崩れました。そしてまた「ド・ド~~~ン」。
その場にいた30分程の間、何度も何度も崩れ、まさに氷河後退の現実を目の当たりにしました。  
氷河から15分歩いて下るとLognan小屋に出ます。


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この小屋、夏は登山客、冬はネイチャースキーヤーで賑わうそうですが、本日はガスのため静かでした。そこで小屋の中を探索してみると、こんな写真が‥‥。


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約100年前のもの、小屋は氷河に囲まれています。しかし現在の氷河末端は小屋から上部へ歩いて15分のところでした。
小屋の女主人、近くに住んでいるというハイカーや山岳ガイド、いずれの人々も「氷河は凄まじい勢いで後退している」と口をそろえて言います。氷河は長期的気候変動の影響を最も敏感に受けるものの一つであり、私たち人間への警告者なのですね。



事務局短信

 8月7日     運営会議(7名)
 8月15、16日 白山登山・調査(6名)
 8月23日    チブリ登山道整備(6名)
 8月25日    県自然保護課村中氏と話し合い(2名)
 9月4日     運営会議(8名)
          事務局会議(3名)
 9月11、12日 チブリ登山道整備
 9月16日    瀬川自然保護官と面談
          トラスト用地整備(3名)
10月02日    運営会議(9名)
10月18日    チブリ登山道整備
10月22日    石川農林総合事務所 前浜課長と話し合い(3名)
10月24、25日 チブリ登山道整備



カンパありがとう
関 京子  他匿名1名

※匿名のかたよりメッセージを頂いております。
「土建業者に税で膨らませるような辰巳ダム建設に反対しております。いわんや白山トンネルをや」



でかけてみませんか

■20周年記念行事

11月14日(土)  午後5時30分
白峰 御前荘のロッジにて

白峰当会参与の山口一男氏より「白峰地区の現状と振興」をテーマに講演頂きます。その後、会食・宿泊で親睦を深めましょう。

翌15日(日)
トラスト用地を散策、自然観察や炭焼窯跡を観察します。

会費4,000円

15日のみの参加も歓迎します。詳細は深田まで。


■第21回総会

平成22年3月7日(日)午後1時を予定しています。
詳細は次号の会報で。