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●会報しらやまNo80 2008年11月発行

豊饒な白山山麓


豊饒な白山山麓
この写真は、高倉山の中腹から撮影したものです。
高倉山は、手取川と尾添川の合流点の右岸に高まる標高922mの山で、白山北部の大笠山から続く支尾根の末端に位置しています。
眼下には稲刈りの終わった山麓の展望が広がり、山裾は紅葉の盛りです。
手取川は、平野部の右の方を流れています。両岸は杉を主とした林になっているようですが、田畑として利用できないかわりに、杉を植えたのだろうかと想像します。
最奥の稜線にガレ場のようなものが見えているのは河合鉱山で、その左下は雲龍山です。
拙宅はこの高倉山の山裾にあります。ここから見える範囲は普段から自動車で行き来しているのですが、あくせくした日常生活では、このような田園の広がりはわかりにくいものです。
写真・文 木村芳文(写真家・当会事務局員)



目次
子ども秋のクリーン活動  事務局長 深田和人
トラスト基金順調に 収支中間報告  (事務局)
結成20周年にあたり  会員 森の都愛鳥会 本間勝美
寄稿「自然保護に思うこと、あれこれ」  深山晃二
白山高山帯・亜高山帯での事業が植物に及ぼす影響とは? 調査の概要  会員 清水孝彰
白山を巡る沢旅(その23)~終章 雪の架橋、日本海から白山へ! その3 北方稜線~  会員 鮎川正
環境について考える(20)食料自給率39%の国、ニッポンの安全保障は?  会員 三津野 真澄
会費納入の季節です
事務局短信
新入会員
でかけてみませんか




子ども秋のクリーン活動
事務局長 深田和人

9月28日、昨年は雨天中止となったリベンジと、場所を奥獅子吼のままに行われた。子どもの参加者は2人とタイトル的には少しさみしいが、大人も入れて9人はまずまず。

犀鶴線を鶴来浄水場方面から入る。くねくねの急な坂道を車で走るとほどなく登り口に到着。駐車場には既に何台かの先客あり。自己紹介の後、歩き始める。天気予報は秋晴れであったが、空は一面の薄い雲。少し肌寒さを感じる。
しばらく歩くと黄色い花が多数お出迎え。アキノキリンソウと教えてもらう。植物に疎い私にとって、詳しい人と一緒の山歩きは、それだけで得した気分になれて嬉しい。
あまり起伏のない山道で、子どもでも歩きやすい。ゴミはほとんどないが、子どもは見逃さない。何年かぶりにプルタブ(一昔前の缶飲料の開け口。引っ張ってとれるやつ。ちなみに今はステイオンタブ)を見てプチ感慨。
季節がら、キノコが多い。中で目についたのが毒々しい赤色をしたもの。その名もカエンタケ(火炎茸)と教わる。帰宅後調べてみると、「呼吸困難・言語障害が摂取後数分~十数分で現れ、最終的には肝不全・腎不全・呼吸器不全などを引き起こして非常に高い確率で死に至る」とある。恐っぅぇ。

途中、20mはあろうかという高いポールが立っており、先端には何かがカラカラと回っている。昨年中止となった風力発電のための風速計という。風力的に適するかどうかを調査するためのものらしいが、ここに風力発電塔を想像すると確かに不自然さ・違和感あり。

アケビやツルリンドウ、カケスの声と遭遇しながら1時間ちょっとで奥獅子吼に到着。眼下に、扇状地を絵にかいたように手取川の流域が広がる。視界の左には高い山波。あれが大笠、こっちが笈と話がはずむ。はては、鉄塔談義(送電線としては使っていないが、バランスの関係で取り壊せない等々)まで、皆さんの博識に脱帽。

来た道を引き返し11時過ぎに駐車場に到着。垣本さんが用意してくださった豚汁に舌鼓を打った。
12時過ぎには全過程終了。健脚組にとってはまだまだ歩き足りないようで「もう1回行ってこようか」という冗談も。大人は長距離コース、途中で短距離コースの子どもが合流という次年度以降の青写真を描きながら解散した。




トラスト基金順調に 収支中間報告
(事務局)
前号で報告通り、トラストとして白峰の土地およそ4ヘクタールを450万円(管理費を含む)で取得しました。そのうち、土地代としての200万円を支払いました。これに関しては、相応の積立金があり、いわば予定通りでした。が、残りの250万円をすべて寄付でまかなうという、とてつもない計画のスタートでもありました。幸い、この3ヶ月で40名近くの方からの寄付がありました。ありがとうございました。中には10万円単位で寄付していただいた方もおられます。残り80万円強ですが、これが集まったら終了ということではありません。第2、第3のトラストも手がけていきたいと考えています。多くの方々のご協力、これからもよろしくお願い致します。

トラスト運動ですが、少しずつたまっていった特別会計がかなりの額になり、会として土地を所有し、自然を残していこうという話が上がりました。かれこれ10年ほど前のことです。これまでいろいろ行ったのですが、今回ようやく地主の方との交渉成立に至りました。
今後の取り組みとして、何よりも現地調査が必要です。白峰周辺での行事の後では必ず現地に足を運ぶようにしていますが、夏の間は下草が生い茂っており、入山が困難な状態です。とりあえず、歩道の整備を行って、植生や生息する動物の調査を行わなければなりません。調査を兼ねる自然観察会などをしていきたいと考えています。

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結成20周年にあたり
会員 森の都愛鳥会 本間勝美

「白山の自然を考える会」結成20周年おめでとうございます。
あれからもう20年経ったのかと、今にして思うと当時は皆若く活力に満ち溢れていた日々であった。僭越ながら結成当初を知るものの一人として、当時を追懐したいと思います。
 
1990年5月13日五月晴れの金沢市普正寺の森で「全国野鳥保護の集い」が開催されようとしていた。同席していた山岳会の林氏から”河内村ゴルフ場凍結!゛とそっと耳打ちされ、私は半信半疑ながら小躍りして喜んだ。
翌日、凍結がマスコミ報道された時の感動は今もって鮮明に思い起こされる。
河内村(現 白山市)は日本三名山の一つと謳われる「白山」と、そこを源流とする手取川のほぼ中流に位置し、村の90%が山という過疎化の村であった。そこに村の活性化と地域振興を図るという名目で、第三セクター白山リゾート開発(JR西日本・河内村・県観光余暇資源開発公団)により、ゴルフ場が計画されたのである。

1988年(昭和63年)年末の国会で、消費税法のドサクサに紛れて通過したリゾート法は、日本列島最後の切り売り法と言われる乱開発促進の悪法である。これまで開発が制限されていた国立公園地域や水源保安林、農業振興地域などもリゾート開発の名のもとに積極的に指定解除あるいは用途変更が認められ、日本各地でかろうじて残された未開発の地域が片っ端から不動産業者によって買い占められ、ゴルフ場やスキー場が造成されていったのである。
「白山」もしかり、関係市町村あげて”白山連邦共和国”なる組織を立ち上げ官民連帯による大規模な観光開発が図られようとしていた。
「白山の自然を考える会」は1990年の1月、県内自然保護5団体と山岳会の人達で、今こそ結束してこのような乱開発の魔の手から白山を守りぬこうという熱い思いで結成された。その最初の運動が”河内村ゴルフ場阻止”であった。地権者でもあり現地でたった一人ゴルフ場反対に立ち向かっておれらた故水上政吉さんは、六十九歳という高齢にもかかわらずエネルギッシュな行動の人であった。街頭署名活動、反対集会等、中でもユニークな運動は会長であった直木賞作家・高橋治氏が働き掛け、建設予定地を俳優、作家等の有名人が別荘地に譲り受け、別荘地標柱を打ち込んでゆく運動等々、反対運動は大きな高まりと勢いを増し、ついに”ゴルフ場建設の凍結、撤退”という大きな成果を勝ち取ったのである。

今、地球上では一日に約100種類もの生物が絶滅に追い込まれているという。国連の『生態系評価報告書(2005年)では、人間活動の影響により、野生生物の絶滅スピードが、自然状態の1000倍以上に加速していると指摘している。わが国でも、鳥類の13%、爬虫類の31%、両生類の34%などにあたる種が、絶滅の恐れにあるとされている。「生物多様性条約」では生物多様性とは、野生生物の種類が多様であること、生物のつながりすなわち生態系が多様であること、同じ種類でも遺伝子が多様であることとされている。
現在は当会の第一線を引いた身でいささか心苦しいが、白山トンネルの問題もくすぶり続けており、白山を取り巻く課題も少なくない。「白山の自然を考える会」は、法人格となり若い有能な人材も多く、その存在は実に大きいものと思う。今後はさらに、生物多様性、生態系保全の視点でより一歩踏み込んだ取り組み、活動を期待したい。流域の河川ではダム、砂防ダム、堰堤等々、生態系の破壊の課題は山積みである。皆さんの今後の活動と会の更なる発展を心より願っている。




寄稿「自然保護に思うこと、あれこれ」
深山晃二

私は自然が大好きで、昨年まで神岡町の山奥の村に4年間住んでいました。山道の草刈りや溝の手入れ等を手伝いながら生活を楽しみました。虫や動物などがいっぱいました。そんななか、海も山も荒れて汚れてゆくのが気になります。
今年の環境フェアに行ったらマイはし、マイバックを勧めている人たちがいて、割り箸だけで住宅○個が建つと話していました。柳やパイン(違っているかもしれません)、材の表皮の柔らかいところで住宅なんて造れません。割り箸は森林保護に役立っています。森林を間伐すれば森林保護になるし、間伐材をどう利用すればよいかを考えるほうが大事です。ほとんど山に捨てられていますから。
季節はずれのイチゴ、トマト、キュウリ、茄子等たくさん並んでいます。収穫までに3~4ヶ月間、24時間暖房し続けねばなりません。マイバックよりもCO2発生原因です。

近くの里山に竹がたくさん入り込んで山をだめにしています。所有者が放置したためですが、細い竹が道や電線に倒れかかっています。3~4年ほど竹の子を全部取ってしまうと効果があると県森林部のビデオが言っていました。無料で自由にとってもらう行事でもしたらよいのではないか。
湯涌の奥の刀利ダムの尾根にあるブナか楢の木が、まだ夏なのに一面に葉が茶色く枯れていました。地元の人は温暖化か害虫かと言っていました。県森林部では、最近どんぐりは減っているしブナの実は花のうちに落ちてしまい毎年不作の由です。動物が可愛そう。

海の様子も変です。富来で出会った漁師さんは魚が全くいないと言っていました。30℃の海水で住めないのか、乱獲しすぎたのかわかりません。
付き合いで環境、環境という人が多いですが、関心のある人が本当に少ないですね。自分で出来ることからやって、生活も変えればよいと思いますが。ガソリンが高ければ一人一台持たないでバイクの手もある等。今までの生活を変えることはなかなか困難ですが、あと地球が40~50年保つかと言われている時にお金でもないし、戦後の質素な生活も大切かもしれません。貴方の会でも、こんなふうにあちこちに目を配って下さるよう期待しています。




白山高山帯・亜高山帯での事業が植物に及ぼす影響とは? 調査の概要
会員 清水孝彰

1.調査目的
 白山の高山帯(標高約2300m以上)、亜高山帯(標高1600~2300m程度)の中で、登山客が最も集中する室堂~南龍ヶ馬場にかけての「南斜面」では、登山客の踏み荒らしによる登山道の荒廃とその補修整備が繰り返されている他、「緑のダイヤモンド計画」による施設整備や、砂防新道への光ケーブル埋設工事が行われています。当会では、これらの事業の影響が植物にどれだけ出ているのかを定量的に把握するための調査を、2003年より行っています。

2.調査概要
●調査日 
2008年8月16・17日
6月21・22日にも予備調査を行っています。
●調査ルート =で記した区間で調査を実施
 16日 別当出合‐砂防新道別当覗=付替新登山道=水平道分岐‐水平道木道設置点=南龍ヶ馬場
 17日 南龍ヶ馬場‐エコーライン‐弥陀ヶ原=室堂=弥陀ヶ原=砂防新道十二曲がり=光ケーブル沿いの道=別当覗-別当出合
●調査者 当会の清水、山田、山本の3名です。
●調査項目
①緑のダイヤモンド計画結果検証
・室堂センター前弥陀ヶ原側造成地の植生回復状況検証
②光ケーブル事業影響の評価
・砂防新道付替新登山道及び光ケーブル沿いの道(標高1780~1880m地点)の登山道幅員の経年変化追跡
・砂防新道十二曲がり付近(標高1880m地点~黒ボコ岩)の登山道幅員の経年変化追跡
・黒ボコ岩~弥陀ヶ原の植生の経年変化追跡
・五葉坂(光ケーブルの延伸計画区間)の沿道植生調査
③登山道状況と環境との関係把握
・水平道木道設置点の、木道周辺植生の経年変化追跡

3.調査結果
 今年重点的に調査を行った、光ケーブル事業影響の評価に関わる調査を報告します。

①砂防新道付替区間の冬越し後の状況
 砂防新道の標高1780~1880mの間は旧登山道の付け替えが行われ、昨年8月から新登山道が供用されています。また、暫定的に一昨年~昨年使われていた、光ケーブル沿いの道は現在は通行止めとなっています。当会では昨年秋の閉山前に、この両登山道に8箇所の定点を決め、登山道幅員等の経年変化を追うこととしました。
 定点で昨年から今年にかけて登山道の拡幅が見られたのは、新登山道5点中の3点、光ケーブル沿いの道3点中の1点です。光ケーブル沿いの道は植生回復はまだ見られません。6月予備調査時には、残置された工事資材を多数発見しました。一部は硬い残雪をかぶった状態であったことから、昨秋に残置され冬越ししたものです。斜面地では積雪荷重で資材が道の外にはみ出たものもあり、これらが拡幅の主要因と考えられます。工事は積雪期に入る前にすべて終了(終了しない分は翌年持ち越し)し、資材除去を徹底する必要があります。
 光ケーブル沿いの道は、ムシロの上に雪が残り、その下方で融雪水が破れたムシロの下から土壌を浸食し、光ケーブルを露出させている箇所がありました。ムシロが植生回復に悪影響を与えていることがわかりました。

②砂防新道十二曲がり付近のGPSによる定点位置特定
 光ケーブル埋設工事が行われた2003年より継続調査を行っている、砂防新道十二曲がり付近(標高1880m地点~黒ボコ岩)の定点10点について、ハンディGPSで緯度・経度を測定し、来年以降の調査で位置を正確に特定できるようにしました。
 この調査は今年で6年目に当たりますが、登山道の拡幅が表1の4タイプに分類されるようになってきました。
(以下、次号)

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残置された工事資材 残雪をかぶった状態 

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残置された工事資材 斜面下方にはみ出た状態

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融雪水の浸食による光ケーブル露出状況




白山を巡る沢旅(その23)~終章 雪の架橋、日本海から白山へ! その3 北方稜線~
会員 鮎川正

学生時代に宇奈月から北方稜線を辿り剣岳、立山弥陀ヶ原へのスキー縦走をした折に、ずっと隣の虚空に浮いていたのが白山の白い稜線。次はあそこだ!と決めてから20年近い歳月が過ぎた。剣岳の時は暇と体力に任せて登攀具から2週間以上の食料を担いでの体力勝負のスキーだった。20年ぶりの大雪が北陸を襲った2006年の冬。ようやく長年の宿願を果たすときが巡ってきた。今回は5月の連休、暦どおりのしがない勤め人休みプラス体力なし状態で本峰以南はすべて割愛、次回に回すこととしよう。
白山本峰へのスキーツアーの起点としては、やはり最北の1500m峰としての大門山だろう。我が家の裏にすぐ望めるこの大門山は、同時に今期の日本海からの犀川源流スキー紀行の終着点でもある。大門を起点に谷から谷へ。年来の白山水系の谷スキーは、同時に白山水系の沢旅遡行も、白山オートルートのための布石でもあった、と書くとえらそうだが、自身の気持ちへのもっともストレートな表現はこういうことだ。白山の主要水系を繋いで本峰まで行こう!

西赤尾のブナオ林道は除雪が下部は入っている模様だった。スキーを担いで林道を歩く。まもなく雪が出てくる。標高の割に豊富な残雪。おかけで林道のかなりの部分はショートカット。ブナオ峠近くでスキー装着した。大門山近辺は3月とあまり変わらない風情で迎えてくれた。正面に見える不動滝谷も赤摩木古谷も十分滑れそうだ。ブナ疎林を縫ってやがて大門山山頂にたどり着いた。360度の山頂から先ずは金沢市街地の遠望。そして首をゆっくりと南に振って目指す白山も遥かに望める。
さて北方稜線から外れて先ず1発目は倉谷川源流滑降。カール状の斜面は快適に1014mの二俣まで滑れる。その先の滝場での釜は3月のときより小さくさらに積雪が増した模様だ。右俣を登り返し見越山を目指す。山頂直下は傾斜が増すが、雪は締まり雪崩れの危険もなく再び北方稜線に這い上がった。更に稜線をそのまま南に辿り奈良岳。ここから二発目は瀬波川滑降へと移り北方稜線からまた外れる。瀬波川上部は超快適。純白のカールがどこまでも続いている。やがてゴルジュ帯に入ると傾斜がほとんどないので直滑降のみ。側壁からのデブリも以外に少なくスキーをどんどん走らせとうとう二俣着。驚くべきことに雪割れも全くなく膨大な雪渓はまだ続いている。どこまでいけるか興味があったが、また、晩飯調達の意味合いもありさらに滑降を続ける。しかし、これ以上下ると嵌りそうな予感もする。側壁から水が汲めるところで打ち切り登り返すこととした。二俣直下まで戻りツエルトを張る。
竿は振れないが焚き火は豪勢に出来た。谷底から見上げる狭い星空に赤い炎が小さく瞬いた。

翌日、瀬波川の右俣チョーゲージ谷を詰める。すぐに因果の滝。三段80mの豪瀑はさすがに顔を出していて、右岸の雪壁からスキーを担いで巻く。無雪期と同じ高巻きルートで技術的な問題はない。落ち口に立てばその先もぎっしりの雪の回廊。最狭部2mの関門も判然とせず、すんなり通過。15m滝付近で雪割れの兆候。水音が下から聞こえる中、スキーを再度担ぎ慎重にクレバスの開きかけの斜面を通過した。中間から上部は見事なカールで大笠山山頂へ一気に突き上げた。三度北方稜線へ舞い戻る。
大笠山は北方稜線の雄。山頂からは四方に谷が伸びる。さて四発目はその大笠山の南東に伸びる境川フカバラ谷。朝の時間帯だが南面で雪も緩み超快適な滑降が三俣付近まで続く。ゴルジュ帯廊下出口の懸案の20m滝は惜しくも上部5mほどが雪割れ。スーパースキーヤーなら滑ったまま跳べそうだが、へっぽこスキーヤーには無理な話。右岸ブッシュからロープを使って懸垂下降で降りれそうだが、壁がハングしているから空中懸垂になるだろう。荷物もあるしちょっとしんどそうだ。結局少し登り返し右岸の小ギャップからスキーを担いで三俣の左俣へ降りたった。ここは上手く雪が繋がればスキーで通過できたかもしれない。
さらにゴルジュ帯を下ると雪は次第に荒れ始め、両岸からの雪崩、落石でスキー滑降も難しい。やがて大きな水音と共に空間が一気に開けた。フカバラ谷F3となる30m滝は完全露出となって咆哮していた。ある程度予想されてはいたが、ここで途切れているのは紛れもない現実。フカバラ谷を滑って笈直登沢を詰める、という目論見はあえなく潰えた。さあどうしよう? 休憩がてら写真をとりつつ思案していると、左岸側壁から轟音と共にブロック雪崩が襲来。F3落口へ怒涛のように雪崩れ込んだ。10分前に覗き込んで写真を撮っていたが、その位置にいたら一緒に流されていたに違いない。こんなところ悠長にロープを使って通過している場合ではなかろう。早々に荷をまとめて三俣へ戻り左俣を登り返して北方稜線に戻ることにした。
先は長い・・・・・。




環境について考える(20)食料自給率39%の国、ニッポンの安全保障は?
会員 三津野 真澄

日本の食料自給率は、先進国中でも最低です。農水省がまとめた2003年(平成15年)の自給率(カロリーベース)のデータでは、次のとおりです。
オーストラリア(237%)、カナダ(145%)、フランス(122%)、ドイツ(84%)、イタリア(62%)、オランダ(58%)、スペイン(89%)、スウェーデン(84%)、スイス(49%)、英国(70%)、アメリカ(128%)、日本(39%:2007年)
農林水産省では、輸入が完全に途絶えた場合、国内産農産物だけを食べて国民が「生き残るシナリオ」を発表しています。これによると、私たちの一日の食事は、次のようになるのだそうです(次ページ)。
朝食:ご飯茶碗1杯・蒸かし芋2個・野菜ぬか漬け1皿
昼食:焼きいも2本・蒸かし芋1個・果物(リンゴ1/4相当)
夕食:ご飯茶碗1杯・焼き芋1本・焼き魚1切
これに加えて、うどん2日に1杯、みそ汁2日に1杯、納豆3日に2パック、牛乳6日にコップ1杯、卵7日に1個、肉は9日に1食
みなさんはこの食事に耐えられますか?
イモ類が主体なのは、土地生産性が高く熱効率も高いからです。国内農地をできる限りイモに生産転換を行うことによって、国内生産のみで1人1日当たり2000kcal程度の供給が可能との試算です。この1人1日当たり2000kcalというのは、戦後の食糧難をようやく脱した昭和20年代後半とほぼ同様の水準だそう。
嗜好にあわない、栄養バランスが悪い、などと言っている余裕はありません。「死なないため、生き残るための献立」なのですから。もちろん肉や卵、牛乳は大変な贅沢品となります。

農水省が開設している「食料自給率の部屋」というHPで詳細なデータを得ることができます。
(http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/index.html)ぜひ一度ご覧になることをおすすめします。
正直いって、私はゾッとしました。日本の将来は全然大丈夫じゃない!と心底思いました。減反され空き地となっている田んぼ、中山間の耕作放棄地。一方で大量の食糧を海外から輸入している日本。その半分はアメリカと中国からのものです。
アメリカ大統領ブッシュ氏は、就任間もない2001年7月、暗に日本の食状況を皮肉って次のように演説したそうです。
「自国の食料さえまかなえない国がある。信じられるか?それは国際的な圧力と危機にさらされている国だ」
食が無ければ当然生きていけません、個人も国も。真剣に国の将来、特に農業政策を考えたくなりました。

さて、肉、卵、牛乳といった食品は、輸入が止まったら大変な贅沢品になるのは、なぜでしょうか。それは家畜の餌の穀物類が、ほとんど輸入に依存しているからです。そして同時にこれら食品は地球環境への負荷、特に温暖化が大きなものであることを、私たちは知らなければならないと思います。
「週1で休肉日をつくろう」と呼びかけているのは、国連「気候変動に関する政府間パネルIPCC」で議長を務めるパチャウリ氏。彼は昨年、地球温暖化問題に対する功績が評価され、ノーベル平和賞を受賞しています。
牛や豚、鶏など肉消費量を減らすと、なぜ地球温暖化防止に役立つのでしょうか?
牛や羊など草食性動物は消化の過程で大量のメタンを発生させます。(つまりゲップですね)このメタン、二酸化炭素と並んで温暖化の原因ガス、しかも同じ体積ならCO2に比べて21倍も温暖化をすすめる、イヤ~ナ気体。また牧場建設のために熱帯林はじめ森林が広く伐採され、肥料の生産や輸送、トラクターなど農業用機械からは排気ガス。実は食肉産業全体から排出される温室効果ガスは、何と世界の5分の1近くを占めるのです!
もし週に1回肉食をやめれば、(単純に考えて)ガス排出量を1/7削減できるのですから、凄い効果なのです。
さてこのパチャウリ議長、昨年ノーベル平和賞を受賞していますが、「温暖化問題と平和賞?どんな関係が?」と思われるかもしれません。
現在、温暖化問題は全地球的な安全保障問題と密接な関わりをもっています。例えば、温暖化が進行し氷河融解がすすみ海水面が上昇すれば、農地は広く水没して食糧生産に打撃をあたえ、食糧争奪戦が起こり得るわけです。(ツバルなど国家そのものの存亡にかかわる国もあります)そんな危機に陥る前に、週に1回「休肉日」作りましょう。簡単なことですよ。(あ、すみません、私は肉をもともと食べない者なので、「簡単」なんて書いてしまいましたが、お肉が大好きな方々にとっては「大問題」なのかなぁ。)
でも穀物と野菜だけでも、十分美味しい食事が楽しめますよ。
深まる秋から冬、地元産のお米や野菜をいただきながら、地球環境と日本の安全保障を考えませんか。




会費納入の季節です
本会の活動は皆様からの会費で運営されています。活発に活動すればするほど予算が必要になります。
会費の納入、ぜひともよろしくお願いいたします。




事務局短信

 8月 1日(金) 運営会議(7名)
 8月 7日(木) 自然保護センターとの話し合い チブリ尾根整備について(3名)
 8月16・17日 白山登山
 8月24日(日) チブリ尾根整備
 9月 7日(金) 運営会議(8名)
 9月17日(火) 事務局会議(2名)
 9月21日(日) チブリ下草刈り 雨天中止
 9月22日(月) 広岡県議の一般質問を傍聴(2名)
 9月28日(日) 子ども秋のクリーン活動(9名)
10月 3日(金) 運営会議(8名)
10月19日(日) チブリ尾根巡検




新入会員
高畠 豊 
(敬称略)




でかけてみませんか
■自然観察会(高尾山・吉次山縦走)
11月16日(日)
集合 旧江戸村駐車場  時間 午前7時30分
参加費 300円(保険料を含む)

■第20回総会
2009年3月8日(日)  13:30~