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●会報しらやまNo68 2005年11月発行

会報しらやまNo68 PDFファイルはここからダウンロードできます

秋の別山
秋の別山(10月)(c)木村芳文(当会事務局)


目次
白山に行ってきました
事務局長からの手紙
チブリ尾根草刈に参加して 霧の森で考えたこと
団体会員紹介(その3)「自然の権利」基金
白山ろく見て歩きを行いました。
白山登山回想
高山帯・亜高山帯で行われる事業は植物にどこまで影響を及ぼすか~白山南斜面における植物への影響調査報告~
ヤシャビシャク=夜叉柄杓
環境について考える 第6回 京都議定書に挑戦!SEP(セップ)聖高エコプロジェクト
事務局短信
カンパありがとう
新入会員
会費納入のお願い
でかけてみませんか
編集後記


白山に行ってきました
大岸瑞穂(当会会員)
8月27日~28日、合計9名で白山に登ってきました。内、初めての方が2名でした。砂防新道を登り、甚の助小屋から二手に分かれて南竜のキャビン泊。下りは植生調査とそれぞれの体力にあったコースでいくつかに分かれました。今回の目的は植生の調査、登山道メンテナンスの確認と自然を楽しむことです。私の目的は自然を楽しむだけでしたが、120%満喫させていただきました。

天気がいい日に山に登ったことがある人ならこの心地よさを説明するまでもなくわかっていただけると思います。お天気がいいだけでも感謝なのに、8月下旬にも拘わらず、夏の高山植物が出迎えてくれてました。イブキトラノオ、シモツケソウ、ハクサンフウロ、ミヤマダイモンジソウ、シロツメクサ、マツムシソウ・・・待っててくれてありがとう!?今回初めてトンビ岩に上り下界の景色、上界の景色を楽しむことができました。そして夜も満天星を堪能し、流星をちょっとだけ楽しみました。次の日、早起きに慣れていない私は随分心配しましたが、無事午前3時出発でご来光に逢うために御前峰山頂を目指しました。暗い登山道を歩くのも初めてで、思った以上に昼と勝手が違うことに驚きました。その甲斐あって久しぶりのご来光に出会えました。奥穂高大キレット辺りからのお出ましでとても美しく輝いていました。

もう一つの楽しみは、お夕食TIMEです。板谷さんの野点セットで一服頂き、話にも花が咲き、半数が初対面の方でしたのに和やかというより賑やかに過ごしました。私も少しアルコールを嗜む事ができればと悔やまれます。

もう何度か足を運んでいる白山ですが毎回違う楽しみや初体験を頂いています。同行する人が違うだけでも今まで気がつかなかったことに出会えたりするし、時期が異なると勿論、違う顔を見せてくれます。この懐が広くて深いところが沢山の人を魅了してやまないのでしょう。改めて感じ入りました。

全員が無事下山でき、笑顔で解散できた事も何よりのことだと思っています。下山後に市ノ瀬ビジターセンターで木村芳文さんの写真展も堪能できるおまけつき(?)でした。

加藤事務局長をはじめ、ご同行いただいた方々に感謝いたします。ありがとうございました。



事務局長からの手紙
事務局長 加藤 正現
8月下旬、鶴来のスカイ獅子吼にて開かれた「白山ミーティング」に会を代表して参加させてもらった。座談会を通して、私たちが今日どのように生きていて、またこれから先未来に向けてどう生きるべきなのかについてずいぶんと示唆を与えられた気がしている。というのは、これまでの私たちの生き方がどちらかといえば“人間中心主義(エゴ)”に偏りすぎていて、その結果として地球温暖化が引き起こされ、自然災害が激増していることにつながっているのではと改めて考えさせられたのである。 
やはり私たちは自然との共存、共生を第一に考えていかなければならない。人間はあくまでも自然のごく一部であって、この地球上に存在するあらゆる命をすべて認め合って生きていくという謙虚さが何よりも必要なのであろう。人間だけが、自分たち以外の生き物の生命を気遣い、その将来を考えてあげることができるのだと考えているとしたら、それはとんでもない思い上がりである。
昨年、別当出合に架かる吊り橋が流されたが、巨大な自然のエネルギーの前には人間の作ったものなどひとたまりもなかったではないか。今日はグローバリズムの時代といわれて地球はますます狭く感じられてきているが、むしろ、地方に戻り、地方の豊かさを再認識し、地方から発信をしていくという意識の変革が必要なのではあるまいか。
アイヌの人も、沖縄の人も、アメリカ先住民もかつてはあらゆるものに神が存在していると考えて感謝の念を忘れず、人間がそれらによって生かされている存在であることを認識していた。現代人は今こそ彼らの考え方に学ばなければならない。その時が来ていると考えるものである。

さて、チブリ尾根登山道の市ノ瀬から猿壁堰堤間に新歩道を作り、これまでの工事用道路とは分離することとなった。県とも交渉を重ね、コースの選定に当たってきた。今年は当会でかなり伐開作業を進めてきており、まだ不確定な部分もあるが、来年度は業者による工事も入り、一般の方への供用も始まることになるだろう。私たちは、安全面からも歩車道は分離した方がよいと考えてきた経緯もあり、大きな前進であると思っている。

最近の運営会議の動きとして、石川福井県境の国道416号線の道路建設に着目している。白山トンネル問題にも代表されるように、当会は自然破壊につながる不要な道路建設には反対の立場を貫いてきているが、建設予定地である大日峠周辺の自然環境には優れたものがあり、また峠道を保存するという観点からも安易な道路建設は認めるべきではないというのが運営委員の一致した見解である。
既に県への情報公開はすませたが、本年度本設計が実施されることが明らかとなった。当会としては、来年度6月頃にも現地調査を行い、合わせて植生等の調査も行いたいと考えている。会員の皆さんも今後この問題には注目をして頂きたい。また、情報があればお寄せ頂きたい。よろしくお願い致します。

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チブリ尾根草刈に参加して霧の森で考えたこと
北市 正(当会会員)
振り返ると、刈り倒した笹が登山道を埋めている。そして、笹を片付ければ登る時よりも広くて通りやすく、明るくなった登山道。学生の時に始めて雪山でラッセルをした時に、苦労して登って来た道を振り返った時の感動が蘇ります。今年から、チブリ尾根登山道の整備事業に参加させていただき、巡視を含めて通算3回チブリ尾根を訪れました。撮影のため、重たいカメラ機材が入ったザックを担いで山を登り初めて10年近くになります。ただの通過点としか思っていなかった登山道に整備という形で関わり、これまでとは違った視点から森について考えるきっかけを得られた事を、大変嬉しく思っております。

北アルプスの山小屋でアルバイトをしていた時には、階段の修繕や立ち入り禁止箇所のロープ張りはやりましたが、登山道の整備は始めての経験です。草刈はともかく、侵食部分を木の枝で埋める作業は初めて目にする新鮮な作業でした。太さ10~20cm程度の木の枝を道に沿って並べるようにして、侵食された部分を埋めていきます。そうすると、土が枝の間を埋めながら堆積していくため、効率よく丈夫な土壌を回復できるそうです。今年で3年目を迎えているこの事業では、以前に同様に処理した部分では既に土壌が復元し始めている箇所も見られます。
作業の合間には、この事業の中心人物である米山さんから整備のポイントや苦労話などを詳しく聞くことができたり、木や花の名前を教えていただいたりして、大変新鮮で目からウロコの山行となりました。そのせいでしょうか、それなりに見慣れているはずの気象現象さえも新鮮に感じたように思えます。中でも、7月24日に行った草刈の日の霧は大変印象的でした。深く垂れ込めた濃い霧によって森はモノトーンに陰り、幻想的に浮かぶ木々はまさに深谷幽山を思わせる風情でした。
霧などの気象現象が見られるのは日本が海に囲まれた島国であり、その大部分が豊かな森林に覆われているためです。地球規模の大気の循環とは別に、列島周辺では森や川、海による大気と水の新陳代謝が盛んに行われます。それが、霧などとなって現れます。日本人は、豊かな森の作用を日常的に視覚的に体感できる幸福を享受しています。そして、その森を健全な状態に保つ事は我々日本人の義務であると言えます。

そういえば、後に日本へ帰化する作家のラフカディオ・ハーンは、日本列島の印象を“蒙気のたちこめる水蒸気の島”と評しています。この島に住む我々ですら時に驚くほどの気象が現れるのですから、他の国から来た感性豊かな作家にとって、日本の気候とそれが彩る風景は新鮮で、より印象的に見えたのでしょう。
ハーンは著作「旅の日記から」(※原題はFrom a Traveling Diary)のなかでこのように記述しています。“数ある日本独特の美しい事物の中でも最も美しいのは、参拝のため、あるいは休憩のための小高い場所に上って行く途中の道である。それはいわば、何でもない所に通じる道、無に至る階段である。その特別な魅力は、偶然が重なってできる魅力である。人間の手によるものと自然の条件―光と形と色―とが調和して生まれる効果であって、雨の日には消失したりする。だが、変わりやすいものでありながらも、やはり素晴らしいのである(講談社学術文庫「日本の心」より抜粋しました)。”
極東の島国にやってきた西洋人には、日本の気候がもたらす偶然性の強い風景の趣きの変化と共に、人工と自然の調和が新鮮に思えたようです。人が自然に手を加えて創り出した風景は偶然に出来るものではなく、結果となって現れて来るものです。

我々日本人でも、先人の槌後を知り驚かされる事があります。例えば、近年注目を集めている里山がそうです。日本の原風景とも言えるこの情景は、人が農作業や山仕事に都合よく自然に手を入れた結果が、自然にも人にも都合の良いシステムとして現れています。人が実や木材を得るために植えた木々には昆虫も多く集まり、動物達にも格好の餌場である雑木林となりました。たい肥を作るために落ち葉を集めれば、鳥は葉の下にいた昆虫などを得られ、人にとっては害虫の駆除にもなっています。
里山周辺の山には、杣道(そまみち)と呼ばれる山仕事のための小道があったといいます。この道では、大木や岩の位置に合わせて蛇行させながら作られており、人が登りやすい事はもちろん、自然にもやさしい道となっているそうです。現在の登山道の多くは、近代アルピニズムの到来により、出来るだけ短時間で頂上を極める事を目的としているため自然の摂理に合わない部分が多く、その無理は登山道を境とした生態系の分断や崩落の助長といった結果を招いています。
どうやら自然保護といった問題は、これまでの効率優先の考え方だけでは解決しないようです。もちろん科学的根拠は必要ですが、先人の知恵といったものも大切にして適度に組み合わせるのがよさそうです。人が手入れをしているからこそ、より生き生きとした森を体感できる登山道を結果として残す事が出来れば、どんなに素晴らしいでしょう!特にチブリ尾根で当会が行っているような民間による自発的な整備は、今後の日本の自然保護活動の在り方についての布石となるものだと思います。身近にある森や気候が成す日本の風土は、日本人の自然観を感性の面で育くんでくれる、親のような存在です。親というのは、実にありがたいものですが古来“いつまでもあると思うな親と金”などとも言います。多くの方々にご協力していただき、継続的に整備事業を進めて行きたいと思います。

来年からは、登山道が新たに開設されている市ノ瀬から登山道入り口までの区間も作業範囲に入ります。この部分は、登山道の部分よりもアプローチが容易ですので、体力的に不安のある方でも参加出来そうです。この区間ではブナ林があるわけではありませんが、そんな中でも思いがけない森との出会いがきっとあるはずです。以前にアイドル歌手の新田恵利が「若草の招待状」なんて曲を歌っていましたが、これまで参加を躊躇していた方々も、チブリの森から招待状をもらったつもりで気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

ブナ
霧のチブリ尾根で見かけた朽ちたブナの木(北市氏 撮影)


団体会員紹介(その3)
「自然の権利」基金
「自然にも権利があります」と言うと、多くの人は変に思うかもしれません。しかし、各地で進んでいる自然破壊の実態を見るとき自然が自然のままであることの重要性を肌で感じることはないでしょうか。自然にある山・川・海の立場に立って行動したい、そこに住んでいる野生生物ともに生きていきたいと考える人も少なくないと思います。「自然の権利」は、自然のために行動しようという人の権利でもあります。私たちは、こうした思いの人々ともに、自然に対する法的保護を求めて活動しています。

「自然の権利」基金は、日本で唯一の「裁判支援NGO」です。1995年に提訴された、奄美「自然の権利」訴訟の支援をきっかけに設立されました。これは、原告に動物を掲げた、日本初の「自然の権利」訴訟でした。ゴルフ場建設に対し「もの言わぬ動物たちの代弁をしたい」、「奄美が奄美であるためには、奄美の自然が不可欠である」と、その地域の自然を愛し暮らしてきた人々が中心となって訴えました。

「自然の権利訴訟」はいままでに14件提起され、現在7つが継続中です。

「自然の権利」基金は、全国に応援を求め、裁判資金を集める手助けをしています。「自分たちの周りの自然破壊をなんとか食い止めたい」と切実に願う人々と、「遠くに住んでいるが自然のために何かしたい」と日々思っている人々との熱い気持ちをつなげています。自然保護訴訟の現場になかなか行くことのできない遠隔地の方でも、「自然の権利」基金への会費や寄付という形で、裁判を応援することができます。裁判の様子は、年6回の会報や随時発信するメールニュース等でご報告しています。

裁判は、法廷で誰もが対等に自然保護を議論し、様々な資料の突き合わせをすることのできる手段ですが、その半面、非常に経費のかかる現実があります。原告たちや弁護士が裁判所へ通う交通費や、裁判官に実際に現地を見てもらう「現場検証」の費用もかなりかかります。自然保護訴訟は、その自然に関わりを持つ人たちが原告となって訴えますが、思いを同じくする人々は少なくないはず。そこで、その気持ちを「資金援助」という形で表して頂ければ嬉しいです。ぜひ、ご入会もしくはご寄付をよろしくお願いいたします。

そして第11日目の3月30日正午ごろ、刀利峠に縦走本隊7名全員が到着したのだったが、予定よりは相当に遅れ、しかも白山援助隊の一部にも遭難さわぎもあったので、金沢では救助隊編成の動きもあり、帰路の湯涌では報道陣が大勢つめかけていたが、全員帰還の姿をみて大歓声があがった。

沖縄県やんばるの森
林道工事で赤土がむき出しになってしまった、沖縄県やんばるの森


入会金・年会費とも3000円です。初年度は、年会費は無料で入会金の3000円のみです。
  ・郵便振替 01070‐6‐31179「自然の権利」基金
【事務局】
〒451-0031 名古屋市西区城西1-12-12パークサイドビル3階 名古屋E&J法律事務所内
TEL052-528-1562 FAX052-528-1561
shizennokenri@green-justice.com
http://homepage3.nifty.com/sizennokenri/



白山ろく見て歩きを行いました
垣本哲夫
10月9日(日)、前日からの天候は気にしつつも、幸い当日はまずまずの天気に恵まれ、当日、鶴来道の駅しらやまさんに9時集合、気も晴れ晴れと、まずは白峰地区の民俗資料館に向け出発した。今回は「白山麓の歴史と生活文化に触れる」と初秋の白山麓散策です。

10時同館に到着。予め山口館長にお願いしていました展示物のご案内をして頂いた。特に白峰地区の歴史。それに続く杉原家、小倉家、そして尾田(びだ)家の説明。それは、ただ行きずりに入館し、案内書に目を通しただけでは絶対に判らない貴重な内容でした。それは、各家々のもつその土地に適用した最適な構造、全く無駄のない合理性に感じ入りました。その上に人間として生じるいわゆる縦糸の世界と浄土真宗という宗教が横糸となって、巧みにこの白峰という白山麓と仲良くつき合ってきたことが大変良く判った次第です。

山口館長の言わんとすることは、文化、文明といえば西洋のそれを余りにも比較しすぎではないか。西洋のモノサシを当て、その対するところに日本のそれぞれを当てて、貧しい・豊かを見てしまってはいませんか・・・。と私なりに感じた見学でありました。そんな訳で、山口館長のような人を複数必要だなと思いました。

その後、加藤さんの案内で白峰地区散策。昼から、岩谷俣園地を今回参加いただいた2人で散策し、午後3時30分道の駅で、ご苦労様。参加者7名、初秋とはいえまだまだ緑の多い見て歩きでした。

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白山登山回想 その3
吉田外儀
そして第11日目の3月30日正午ごろ、刀利峠に縦走本隊7名全員が到着したのだったが、予定よりは相当に遅れ、しかも白山援助隊の一部にも遭難さわぎもあったので、金沢では救助隊編成の動きもあり、帰路の湯涌では報道陣が大勢つめかけていたが、全員帰還の姿をみて大歓声があがった。
肝心の第3日市ノ瀬から第11日刀利峠までの縦走の詳細は紙面の都合で省くが以下の問題点で、当時の山行の状況をご推察あれ。

・雪洞
重量、効果などの点より、天幕をもたず全行程を雪洞とした。しかし、訓練時と異なり、縦走中の雪洞場所は尾根筋に制限されること多く、非常に硬雪のため(氷に近し)、大エンピ2丁、2人掛かりでで4時間を要した。雪洞内の温度はマイナス3~プラス2℃。床面にはシラベ、シラビソなどの小枝を10cm厚さくらいに敷き、携帯天幕(旧日本陸軍用 2m四方の布)を広げ、毛布尻当てを腰部に当ててシュラーフで寝た。唯一の暖は、懐炉であった。衣類の乾燥不能。鉈は携行した2丁とも鋼が凍り、また、切る木も凍っているので、刃がこぼれ、2丁とも使用不能となった。

・食糧
雪洞設営の悪条件のため、風も強く点火するまで相当の時間を要し、水を作って米を炊くまで相当の苦労を要した。ようやく炊いた飯も2時間で凍り、焼いた餅も肌につけておいても3時間で硬くなった。
また、全く着火不能のこともあった。要するに、主食を米、餅に頼らざるを得ず、それが失敗であった。相当の雪中歩行の後、長時間の雪洞掘り、また燃料を採り、炊事をなすということは全行程を通じて行動に影響した。主食はパンが適当。携行したパン、干しいも、乾パンなどが最も良く、副食ではハム、バター、ゴマみそなど脂肪、糖分の多いものが良かった。軽くて体積が小さく、栄養、熱量の多いということは勿論であるが、手軽に食べられることが大切である。

・装備
団体…4匁ローソク30本(照明用)、マッチ大箱、メタ70個(燃料)、その他
個人…飯盒(旧日本陸軍用)、懐炉(現在のモミモミではなく、アメ棒状の芯に点火して器具に入れるもの)、オーバーシューズ(当時は市販品なく、磯野隊長のみ着用。絶対必需品であった。)、その他

・その他
時計は6個中5個まで寒気のため止まる。温度計も故障し、計測不能となる。
1台のみのカメラはシャッターが凍り、使用不能となり、縦走中の記録写真1枚もなし。懐炉は効力発揮、一晩一人2個必要。目薬、雪めがね、これも絶対必要だ。
強風のため唇が最大限に荒れ、笑うことも話すこともできなくなった。顔肌もまた物すごくなった。当時は日焼け止めクリームは市販されていなかった。

以上如何でしたか。
戦後60年経た今日ですが、役60年前の山行は3K(キケン、キツイ、キタナイ)そのものといえました。
そして、今にして思えば、縦走隊行動中の情報伝達や、連絡は全くその手段がなく、運よく刀利峠に到着はしましたが、万一の場合は全く救出の可能性は無かったのです。ヘリコプターは勿論存在せず、救援隊も現地に近づくこと不能、場所も特定不能、雪が消えてもほとんどルート不在のこの奥山に入山すらできなかったのです。
人間の生命があれほど粗末にされた太平洋戦争の直後であったからこそ、こんな“決死隊”のような山行ができたのかも知れません。現在、当時のメンバーは2、3名を除き、ほとんどが故人または消息不明であり、60年の歳月の永さを詠嘆する昨今ですが、皆様のご健闘を祈っております。

以上。

昭和22年第2回国体
昭和22年第2回国体前が吉田さん

白山甚ノ助避難小屋より南竜ヶ馬場方面
白山甚ノ助避難小屋より南竜ヶ馬場方面をのぞむ



高山帯・亜高山帯で行われる事業は植物にどこまで影響を及ぼすか
~白山南斜面における植物への影響調査報告~
清水孝彰

1.調査の目的と方法
白山の高山帯(標高約2300m以上)、亜高山帯(標高1600~2300m程度)の中で、登山客が最も集中する室堂~南龍ヶ馬場にかけての「南斜面」では、登山客の踏み荒らしによる登山道の荒廃とその補修整備が繰り返されている他、「緑のダイヤモンド計画」による施設整備や、砂防新道への光ケーブル埋設工事が行われています。当会では、これらの事業の影響が植物にどれだけ出ているのかを定量的に把握するために、2003年より以下の3調査を始めました(会報しらやまNO.60参照)。3年間の調査を経て、様々なことが明らかになりましたので、その成果について報告します。

①緑のダイヤモンド計画結果検証
「緑のダイヤモンド計画」で行われた大規模な造成のうち、最も標高が高いのは室堂での造成です。この造成地について、造成前後の植物を比較し、回復状況を明らかにします。

②光ケーブル事業影響評価
光ケーブル事業地の、登山道幅員・深さ・周辺植生を、事業前、事業直後、事業の翌年夏の3回にわたり調査し、この事業の影響と周辺植生との関係を評価します。

③登山道状況と環境との関係把握
亜高山帯~高山帯の登山道幅員・深さ・登山道整備状況と、植生・標高・傾斜との関係を明らかにし、登山道の広がりやすさが環境とどのような関係にあるかを把握します。
特に周囲が雪田(ハクサンコザクラ・ミヤマキンバイ等のお花畑)の場所は、登山道に水がたまりやすく、登山者がそれを逸れて歩くことにより登山道が広がりやすいと予想されます。

2.調査結果
①緑のダイヤモンド計画結果検証
室堂センター前弥陀ヶ原側造成地の調査は、造成前の1997年より継続的に行ってきました。造成は99年夏に始まり、01年秋に終了しています。この造成地は、園地の他、道の脇の湿地に石が捨てられ乾燥した箇所がある。この「石捨場」の植物は、造成後1年目の02年夏期はヤマガラシ、スズメノカタビラの2種しかありませんでしたが、その後6種、9種と年々増加し、05年夏期には14種となりました。また、04年夏期は大半が荒れ地に生育する種類でしたが、05年夏期にはイブキトラノオ、タカネスイバ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマキンバイ、ミヤマタンポポ、アシボソスゲのような自然草原に近い場所に生育する種類も増えてきたことから、造成後4年を経てようやく本格的な植生回復が始まったと言えます。

(以下次号。)



ヤシャビシャク=夜叉柄杓
三坂岳応(当会会員)
奇怪な名前から何を想像するでしょうか?「夜叉」は、元は仏教に由来し、泉鏡花の「夜叉が池」にも出て来る鬼神。今はロックグループの名前や漫画などでしかお目にかかれず、「柄杓」も又博物館所蔵品になりつつあります。ユキノシタ科スグリ属の小潅木。実物を見ても「なるほど」と思えるほどの特徴が見つかりませんが、由来をご存知の方はご教示ください。

ブナなどの古木の枝の分岐部(腐植質が溜まりコケが生えている事が多い)や洞(うろ)に着生(寄生ではない)。樹上や岩場など乾燥しやすい場所に生える着生植物は、一般に多肉質の貯水組織や水分の蒸散を防ぐ硬い表皮を持っているのに、彼らは他のスグリの仲間と特に変わらないように見えます。水の供給は、家主の枝・幹を伝って集まる雨水と霧や露ぐらいで、確実性に欠け枯死のリスクもあります。薄暗い林床で生きる仲間もいる中で、敢えてリスクを冒して地上を離れるメリットはもちろん光をめぐる競争相手が少ない事。生態学上のニッチの一つです。夜叉と言うより、世俗の競争を避ける孤高の姿から仙人がふさわしいかもしれません。

登山中は足元に注意を払っているので、上の方にあり緑に溶け込んでいる彼らの姿は見つけにくく、よく山を歩いている私自身でも、当会の自然観察会で村上さんから教えてもらって初めて知ったほどです。

「雌雄異株」のようですが、元々孤立している上、花は小さく目立たず虫を引きつける強い香りも持たないので、どうやって花粉が運ばれるのか。うまく受粉・結実できても、鳥などによって遠く離れた樹上へ運ばれ、そこが生育条件を備えていなければ子孫は残りません。他人任せでずいぶん確率は低いはずです。生

態は謎だらけです。

環境省絶滅危惧種Ⅱ類。本州以南に分布は広いのですが、性質上個体数は限られているようです。しかも「家主」の資格がある老木は必然的に遠からず寿命が尽きて倒れる運命にあり、地上では生育できないであろう彼らは、倒れた家主と共に滅びるのだろうと思われます。

一方ネットで調べると驚く事に盆栽用として取引されている事を知りました。実際この目的で採集される例も少なくないと聞きます。

こうなるとこの誌面で取り上げる事が良いのかどうかとためらいもあったのですが、多様な命が複雑に共生する白山のブナ林にひっそり息づく貴重な命の存在を知って頂かなくてはと思い紹介しました。

夜叉柄杓の花
夜叉柄杓の花

夜叉柄杓の未熟果実
夜叉柄杓の未熟果実



環境について考える 第7回 京都議定書に挑戦!SEP(セップ)聖高エコプロジェクト
三津野真澄(当会会員)
地球温暖化は今、最も深刻な環境問題のひとつでしょう。私達が排出する温室効果ガス(主としてCO2)により、地球の平均気温は上昇の一途をたどっています。今の傾向が続けば、最悪の場合2100年には気温は5.8℃上昇し、88cm海面が上昇すると計算されています。具体的に言えば、30年後の金沢は高知・宮崎、100年後にはカイロ(エジプト)並の気温になると予測されています。

CO2排出の原因は3/4が石油・石炭など化石燃料の使用、1/4が森林(主に熱帯林)伐採によります。

温暖化問題に対処するため「京都議定書」が国際的に決められました。1997年京都で開催された「地球温暖化防止京都会議」で約束がされ、これによると日本は2008~12年の間に1990年レベルと比較して6%削減する必要があります。ところが日本が排出するCO2は減るどころか増えているため、現時点からは14%の削減が必要なのです。

私の勤務校である石川県立大聖寺高校では4年前に、『セップSEP聖高エコプロジェクト』を開始しました。スローガンは「京都議定書に挑戦!」。目標はCO215%削減に設定し、日常の学校生活で次のような取組を始めました。
・晴天時の窓際一列の消灯
・両面印刷の徹底
・裏紙を再利用し、両面使用後は分別しリサイクル
・排出されるごみ量を毎日計量しデータは公表
・すべての水道蛇口に節水コマ、女子トイレに擬音発生装置(音姫)を設置
・毎月クラス別にエコチェック
・教職員もきめ細かなエコチェックシートへ記入
・教職員は時期をきめてエコ通勤(相乗りやJR通勤)
・昼休みに環境に関する放送をして意識の向上(週2日)
・文化祭の模擬店では使い捨て食器を廃止
・飲物自販機は缶からデポジット方式の紙コップへ変更しコップはトイレットペーパーにリサイクル
・電気、水道、A重油等の使用量およびCO2排出量は毎月データを公開
・校舎はツル性植物で壁面緑化

以上のように、およそ100項目以上にわたる取組の結果は表の通りです。それほど特別なことをしたわけではなく、日常の学校生活でできることを積み重ねてきた結果です。

30年後、コシヒカリが取れなくなり、白山山麓からブナの森が消え、真冬でも雪ではなく雨やみぞれ霙しか降らなくなる……、そんな石川県にしたくありません。みんなで一緒に取り組んでみませんか。

校舎の壁面もツル性の植物で緑化
校舎の壁面もツル性の植物で緑化し、CO2の吸収と冷暖房の削減に期待。

森林ボランティア
生徒達は加賀市直下町で森林ボランティアにも取り組み、下草刈り、枝打ち、間伐、植林などの作業を通じて地球環境保全について学んでいる。



事務局短信
8月  5日(金)運営会議(9名) 会報67号発送作業
   18日(木)県自然保護課とチブリ新登山道の件で打ち合わせ(4名)
   22日(月)白山トンネル 県関係分の情報公開説明会(3名)
   25日(木)国交省への白山トンネル反対要請(2名)
   26日(金)白山ミーティングに参加(2名)
   27日(土)~28日(日)白山登山(9名)合わせて登山道調査実施     
9月  2日(金)運営会議(8名)
    4日(日)白山麓僻村塾の講演会に参加(1名)
    9日(金)国道416号 県関係分情報公開の説明会(2名)
   13日(火)事務局会議(5名)
   18日(日)チブリ登山道草刈り(5名)
10月 7日(金)運営会議(10名)
    9日(日)白山麓見て歩き(7名)
   16日(日)チブリ登山道巡検



カンパありがとう
関 京子
鈴木 徹
小沢広和
今井隆信
近藤泰平
山本参朗
岩田隆光(敬称略)
大切に使わせて頂きます。


新入会員
竹田健一
森を守るために何かしたいと思っています。
「自然の権利」基金
1年限りの会員で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
山本参朗
一昨年、久しぶりに室堂まで行きましたが、随分と登山道や山全体の生態系が、以前には見られなかったオオバコなど、また、別当出合の吊り橋被害状況なども見ました。砂防ダムをどれだけ造っても、巨大なエネルギーの前には一溜まりも無く、無残な姿になることは火を見るより明らかな、悪戯事に思われてなりませんでした。

(敬称略)
以上の皆さんです。
今後とも、よろしくお願いします。


会費納入のお願い会費納入の季節です

本会の活動は皆様からの会費で運営されています。活発に活動すればするほど予算が必要になります。会費の納入、ぜひともよろしくお願いいたします。


でかけてみませんか第17回総会のご案内
2006年3月12日(日)13:30~

石川県生涯学習センター(県庁広坂庁舎1号館)
講師 山口 一男氏(石川県立白山麓民俗資料館館長)
※ 会場の地図、演題は次号で。



編集後記
深田和人(事務局)
いろんな分野を得意とするいろんな人が集まった当会。黙っていても記事が集まって、編集局的にはうれしい悲鳴。ページ数の関係で1回休みになった鮎川さん、ごめんなさい。